入れ歯は義歯とも呼ばれており、歯を部分的に失った場合、全部失った場合のどちらにも対応できる治療方法です。一番の特徴は取り外しが可能なことで、歯を失ってしまった場合に最も簡単に見た目や、噛む力を取り戻せる方法でしょう。
近年ではインプラントなど歯科技術の発展により他の治療法と比べてデメリットが強調されることも多くありますが、やはりどんなケースでも対応できる最もポピュラーな治療方法であることに変わりはありません。近年では、見た目や装着感、噛みごこちなどを改良し様々な工夫を凝らした快適な入れ歯が開発されてきており、かつてのイメージとはまったく違うものも開発されてきています。
虫歯・外傷・歯周病、歯を失ってしまう理由は人それぞれです。ですが歯がなくなった状態を放置するとどんなことが起こるでしょうか。
歯はすべての歯がそれ追っていることで均等な力がかかるようにできています。もしそれが崩れてしまうと、歯の負担が過剰になってしまったり、歯に隙間が開くことで食べかすが詰まりやすくなって汚れが取れにくくなってしまったりします。それにより虫歯や歯周病にかかりやすくなり、結果的にどんどん歯が悪くなってしまうといったことが起こります。
前歯や手前の臼歯を失ってしまうと、口を開けるたびに見えてしまいます。抜けた歯というものは結構目立つもので、ふと自分の写真を見返した時にがっかりとした気分になってしまうことも少なくありません。また歯がないことで、頬の筋肉のバランスがくずれ垂れてしまったりし、顔全体が老けて見えてしまうこともあります。
噛み合わせのバランスが悪くなるために、顎の筋肉のバランスが崩れ、顎関節症になってしまう場合があります。それによって口が大きく開かなくなったり、顎の慢性的な痛みが出てしまうことがあります。また顎の筋肉の不調和は、体の他の部分の筋肉のバランスにも影響し、体のあちこちに痛みを出すこともあります。
歯が抜けたままずっと放置すると、歯並びが崩れその後に歯を入れようとしてもスペースが不足になって、義歯を入れたくても、入れられなくなってしまうことがあります。その場合には健康な歯をわざわざ削ってスペースをつくってから歯を入れなければならない場合もあります。
保険適応で安く入れることができるうえ、周囲の歯をほとんど削ずにすみます。歯を一本失った場合から全部失った場合まで、どんなケースでも入れられ、取り外せるので清掃がしやすいというメリットも。
また少ない通院回数、短い期間でつくることができます。
前歯の骨がやせているケースなどでは、入れ歯に厚みを持たせて唇にハリを出すことができる(若々しさを取り戻せる)不具合が出たときに修理ができるのも大きなメリットのひとつ。
慣れないと違和感やしゃべりにくい、などの問題が出ることがあります。食べていて外れたり、入れ歯と歯茎の間に食べ物が挟まることもあり、場合によっては金具などが見えて見た目が悪くなることがあります。
また、大きい入れ歯では、食べ物の温度や味などがわかりにくくなることがあります。
噛み心地は、どうしても天然歯に比べて劣ります。
保険で作成される入れ歯は最低限の機能を果たすために作られるため、審美性や快適さはあまり追求されていません。
一方、保険適用外の入れ歯には保険の入れ歯の弱点を補うような様々な種類のものもあります。
金属をまったくつかわない、極めて審美性に優れた入れ歯です。弾力のある特殊なプラスチックを使ってできており、審美性機能性共に高く近年では非常に人気の高い入れ歯です。
入れ歯のプラスチックの部分が金属でできており、頑丈なのに薄くて違和感の少ない入れ歯です。金属製のため熱伝導性が高く、食べ物の温度も感じやすいのも人気の理由です。
残っている歯に磁石を埋め込み、入れ歯にも磁石を埋め込み磁気の力で入れ歯を固定させます。外れやすさと、安定して同じ位置にいれやすいことが魅力です。
歯茎が敏感で痛みが出やすい人には、入れ歯の内面にシリコンを貼り付けたシリコン義歯がオススメです。
すべての歯を失った場合に提案する治療方法で、顎の骨に2-4本のインプラントを埋め込み、そこに取り外し式の総入れ歯をつけます。
通常であれば歯茎だけで入れ歯を支えるので食事中にずれたり、食べ物がはさまったりするトラブルが起きやすいですが、インプラントを使った入れ歯はインプラントの上に総入れ歯がしっかりと固定されるので従来の総入れ歯に起こりがちな問題が解消され、よく噛んで食べられるようになります。
様々な入れ歯をご紹介いたしましたが、どんな入れ歯が患者様に合うかは、その人の生活スタイルによって変わってきます。例えばカラオケで思いっきり歌いたい!といったかたにはやはり、分厚い保険の入れ歯では歌うことが難しいため、ノンクラスプデンチャーなどのうすい入れ歯を提案しています。
また保険治療であっても、お客様の口腔内をしっかりと診察ご自身にぴったりと合う入れ歯を作ることで、快適にすごすことも可能です。
入れ歯を入れるに当たっては、どんな入れ歯を入れるか、どうやって作成していくか、患者様と対話の中で治療の方針を決めていくことが必要不可欠です。